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2020.02.15 九州地方センター 活動レポート 

【開催レポート】令和元年度 地域ESD学びあいフォーラム

九州地方ESD活動支援センターでは、8月22日「令和元年度 地域ESD学びあいフォーラム」を福岡県大牟田市にて、開催しました。

持続可能な地域づくりを推進する地域ESD拠点の取組みを発信し、経験交流、そして意見交換を行うことを目的として開催されたこのフォーラム。

今回は、「国立諫早青少年自然の家」「公益財団法人再春館一本の木財団」「一般財団法人沖縄県公衆衛生協会」の3団体による課題意識や解決への実践について活動紹介が行われました。また、ESDの有識者である「福岡教育大学」のESD受講学生と、「認定NPO法人 地球市民の会」によるアドバイスも行われました。

本フォーラムは、大牟田市教育委員会によるESD全国実践交流会の分科会として行われたことから、多数の教育関係者にも聴講いただき、ESDについての学びがより深まった有意義なフォーラムとなりました。

各団体の皆さんの思いや、助言を頂いたアドバイザーの声をまとめたレポートをお届けします。

■日 時:令和元年8月22日(木)13:30~15:00
■場 所:ホテルニューガイア オームタガーデン
(福岡県大牟田市旭町3-3-3 電話:0944-51-1111)
■入場料:無料

 

話題提供:独立行政法人国立青少年教育振興機構 国立諫早青少年自然の家 次長 力丸 資 氏

https://isahaya.niye.go.jp/

最初の登壇者は、独立行政法人国立青少年教育振興機構 国立諫早青少年自然の家・次長の力丸資様です。

国立諫早青少年自然の家では、「体験活動を通した青少年の自立」を目指し、感性豊かな心、様々な課題にチャレンジする意欲と能力など、社会を生き抜く力の育成に必要な自然体験、集団宿泊活動など、多様な体験活動の機会を提供されています。

国立諫早青少年自然の家が目指すSDGs(持続可能な開発目標)のひとつは、体験を通じて「質の高い教育を確保すること」です。

自然体験活動に学ぶ「主体的・対話的で深い学び」の進め方「タラッキーキャンプ(木育編)」の取り組みについてお話ししてくださいました。

施設のマスコットキャラクターで、ヤマネの「タラッキー」にちなんでつけられた「タラッキーキャンプ(木育編)」は、、山や森などの自然環境に興味があり、木材を使ったものづくりが好きな小学5~6年生を対象に、森林の働きや材料としての木材の良さを学ぶ自然体験キャンプとなっています。
施設は標高480メートルのところにあり、森の豊かさを守ろうという意識を育て、森林や木材に実際に触れ、体験的に学ぶことができます。「森林や木材と人との関わりを主体的に考え、持続可能な社会に向けて積極的に行動できる態度」を育てること、また「木材利用と地球環境の保全との関係を知ることで、木材の有効的な活用と環境に配慮した行動ができる態度」を養うことを目的に、1泊2日で実施されています。

1日目は、学年や学校が異なる友達同士で、コミュニケーション能力の向上を目的にアイスブレイクやゲームを実施します。

施設では体験を通して学んだ知識をもって、人と協力して行動に移して、課題をクリアしていくことを重要視しています。

山に登る前に、アイスブレイク、ゲームを行うと、子どもたちはすぐ友達になり、自然と触れ合いながら交流が深まるとのことです。

外部団体として、長崎県緑化推進協会の協力も得ながら森林の機能について学んだ後、「すだらの森」を散策しながら、人工林と天然林の違いに気付いたり、人工林の手入れの必要性について学んだりしています。

大木に聴診器を当て、水を蓄えている音を聞いてみようとしたり、森の土を観察し水分を多く含むことができる理由をみんなで考えたりといった体験を提供されています。
長崎県県央振興局の林業課の協力で間伐の注意点などを聞いた後、実際にチェーンソーでひのきを切る様子の見学も実施されています。

最後は、その切った木の重さを感じさせたり、間伐前の森の明るさの違いなども観察させたりされています。間伐した木の活用例として、1人ひとりのこぎりを使って、丸太のコースターづくりも行っています。

 

2日目の午前中は、製材所で丸太から木材になるまでを見学。材料としての木材は、人工林からとられていることや木材がどのように活用・加工されているかを学びます。

最後に県央木材協同組合の方と一緒に、椅子や巣箱、小物入れの制作体験を行います。

そこで木材を使うことが人工林を守ることにつながることを理解し、持続可能な森林を大切に育てるため個人でできることはないか、ということ考えるきっかけづくりを行っておられます。
他にも、木材を利用したアスレチックで遊び、「熱くなったり冷たくなったりしないね」「夏でも冬でも遊びやすい」「当たっても木が吸収してくれるからあんまり痛くなかったね」など、木材の良さを体感する時間も設けられます。
子どもたちはキャンプを通して、「みんなで協力した木こり体験は達成感があった」「天然林と人工林の見比べ方がわかった」「森の中はすぐに水が染み込み、森の通路ではあまり水が染み込まなかったことにはびっくりした」など、改めて体験から学ぶことの大切さを感じているそうです。
自然体験や集団宿泊活動で取り組むことで、感性豊かな心、さまざまな活動にチャレンジする意欲と能力、それから社会を生き抜く力、こういったものが育まれるのではないかと考えているとのこと。

地域ESD拠点として、これから体験活動を通した青少年の自立を目指していき、そのために多様な体験の機会を、子どもたちだけではなく、青少年、大人も深めて機会を提供していきたい。さらに、新学習指導要領の改訂ポイントにもある「主体的・対話的で深い学び」を実際にどうやって進めていくのかという点で、学校の先生方などに「学びの進め方」をぜひ広めていきたい』とお話しされました。

 

 

話題提供:公益財団法人再春館一本の木財団 事務局長 清田 隆範 氏

https://ipponnoki.jp/

再春館一本の木財団では、次世代を担う子どもたちが、希少野生動植物の保護や生息生育地の環境保全活動を通して学び、自然に触れる体験をすることにより、自然を大切にする心を育んでもらうことを目的にして行う環境教育活動事業を推進されています。
また、熊本県内において、民間団体等の行う環境保全・保護活動を支援するための助成金交付事業を展開されています。

今回は事務局長の清田様にご登壇いただき、取り組みを紹介していただきました。

再春館一本の木財団は、製薬会社である株式会社再春館製薬所からの寄付を原資に、公益法人として独立した組織で活動をおこなっています。

今年で設立から12年が経ち、熊本の自然を次世代につなげるため、環境教育活動事業、自然環境に関する普及啓発事業、自然保護団体への助成事業、環境保全活動・環境整備事業という4つの公益目的事業を現在行っておられます。今回はESDの活動の紹介として、環境教育活動事業を中心にご紹介いただきました。
環境教育活動事業では、子どもたちに熊本の豊かな自然環境を学習してもらうために、阿蘇地域や天草地域、荒尾干潟など各地で自然体験学習会を開催しています。

現地では、ビジターセンターや博物館など施設を活動拠点としながら、地元の研究者や自然保護団体を講師に、地域ならではの自然環境を学習します。なお、参加費はすべて無料としていることも特徴です。

活動の一つである親子の自然体験学習会は、参加者は小学生とその保護者で、個人での応募の他、小学校や公民館など団体も応募の対象となっています。

本年度は5月に阿蘇の草千里で自然体験学習会を開催し、午前中は昆虫や草花探し、午後からは阿蘇火山博物館の見学を実施されました。10月には、人気のムササビの観察会を行いました。
親子の自然体験学習会を長年開催する中、「子どもたちにもう少し自然や生きもののことについて深く学習してもらいたい」とのアイデアから、平成29年度「再春館一本の木キッズクラブ」を立ち上げられました。

これは小学生だけによる自然体験プログラムで、希望すれば6年生まで継続して参加可能です。現在では財団の看板事業になっているそうです。

本年度は40名で活動。スタッフは財団職員4名、自然観察指導員熊本県連絡会12名、中・高・大学生から14名のボランティアが在籍しています。当初、130名もの応募があり、そこから抽選で36名をクラブ員として活動を開始しました。

本年度の活動スケジュールでは、熊本市内で春・夏・秋・冬の四季の観察を行い、結果を2月にまとめ3月に保護者の前で発表会を実施します。その他9月に水俣市での磯の生きもの観察会、12月に荒尾干潟の野鳥観察会が予定されています。

昨年度の熊本市内の観察場所は、熊本市が作成した生物多様性戦略の重要拠点のひとつになっている江津湖で行われました。

江津湖は市街地でありながら、毎年ホタルの観察会が行われるほか、貴重な渡り鳥クロツラヘラサギが肉眼で観察できます。
活動はいくつかの班に分かれ、「僕・私の1本の木の観察」「水辺・水中の生きもの観察」「野鳥観察」などを実施します。
その後班員同士で感想を分かち合いながら、印象に残ったことをノートにまとめ、3月に保護者の前で発表会を行います。3・4年生は観察したサギの餌の取り方を実践。5・6年生は、会場を巻き込んでクイズを行いながら発表するなど個性に富んだ発表会になったそうです。発表会に使ったボードは4月いっぱい江津湖の管理事務所に展示してもらい、たくさんの方々に見てもらうことができたようです。
本年度は、熊本市の観察場所を立田山に移し、普段の観察では見ることが難しい生きものの様子を観察するために、敷地内に自動の撮影カメラや巣箱などを設置されたそうです。

春の観察会では、最近増えているイノシシなどたくさんの生きものが撮影でき大変好評だったとのこと。今後も生きもの同士のつながりなど自然の仕組みをじっくりと学ぶ観察会にしたいと思っているとのことです。
昨年度の熊本市以外の観察場所は、上天草市ではハクセンシオマネキの国内最大級の生息地がある干潟で観察。
八代市では自然保護団体協力のもと、地元の子どもたちと一緒にクロツラヘラサギなどの野鳥の観察を実施しています。また高森町では教育委員会の協力により、地元の小学生も参加しました。
荒尾市では市の協力により、荒尾干潟ジュニアレンジャーと一緒に干潟の生きものの観察会を行いました。

これからも地元の教育機関や団体などに働きかけ、各地の子どもたちとの絆の触れ合いを目指したいと、清田さんは話します。
キッズクラブの強みの1つはスタッフとして、学生ボランティアの存在があること。
学生ボランティアはクラブ員のフォローをするほか、下見や準備の手伝いをするなどとても貴重な存在です。
クラブ員を卒業したあと、ボランティアとして参加する場合もあり、自然観察指導員の資格を取得された学生ボランティアもいるそうです。
クラブの活動をきっかけに、自然に関わる人材が育つことへの期待が寄せられています。

財団では環境教育活動のほかに熊本県の自然保護・保全を取り組む団体を対象に、12年間で延べ113団体に助成金を交付しています。
助成団体の1つ「NPO法人コロボックルプロジェクト」は、熊本市の金峰山を中心に環境活動を行っている団体です。毎月のようにさまざまなイベントを開催し、県外からの参加も多いようです。
また「ユースラムサールジャパン」の活動は愛知県の団体ですが、荒尾干潟で開催した荒尾市と県内の子どもたちの交流費用に助成を行っています。
水俣市の「NPO法人植物自然の力」は地元の中学校の総合学習に協力し、海底調査を行うためのスキューバダイビングを行っています。八代市の「次世代のためにがんばろ会」は地元の高校生と球磨川河口の清掃活動などを行い、ラムサール条約登録を目指した啓発活動を行っています。

環境教育活動事業をとおして、次世代を担う子どもたちの自然環境への関心や地域への愛着の向上に貢献できるよう、今後とも活動を続けていきたい」と、清田さんは熱心に語られていました。

 

 

話題提供:一般財団法人沖縄県公衆衛生協会・合同会社MIRAIME.Lab(ミライメラボ)

                代表 岸信 朋 氏

http://www.koeikyo.com/

https://www.facebook.com/MIRAIME.Lab/

一般財団法人沖縄県公衆衛生協会財団の業務と、合同会社MIRAIME.Lab代表を兼任されている岸信さん。
公衆衛生協会の中で行ってきた人材育成を、より細やかに対応するためMIRAIME.Labを設立されました。

一般財団法人沖縄県公衆衛生協会は、今年度で設立50周年を迎える古くからある団体で、現在大きく分けて3つの支援、「人づくり」・「まちづくり」・「くらしづくり」に取り組まれています。今回のフォーラムでは、ESD活動として「人づくり」の部分を中心の話題を提供していただきました。
今回ご紹介いただいたのは「サイエンスリーダー育成講座」という取り組み。
沖縄県では「沖縄21世紀ビジョン」を掲げ、子ども科学人材育成事業というプロジェクトを立ち上げています。沖縄県公衆衛生協会は、県とこの取組を進めています。
サイエンスリーダー育成講座は、沖縄県の科学力を高めるという目標のもと、生徒が主体となって科学的視点から地域の問題を考え、課題解決力に身につけるという取り組みです。協会ではそこにESDの視点を取り入れて、プログラム制作を行っておられます。

大きく分けて、サイエンスリーダー育成講座には、中学生を対象にした3つのコースと高校生を対象にした5つのコース、そしてその2つの全体発表会という大きく3つの流れがあります。それら加え、小規模の体験会が実施されています。

プログラムを進めるにあたり、琉球大学や沖縄技術大学院大学、そして沖縄高専と専門学校と連携。その他、地域の民間研究所や企業や団体、NPOとも連携しています。
そして、対象が中学生・高校生ということで、教育委員会や各中学校や高校の先生方とも連携し、科学力を育成するという視点で活動を進められています。

今回は、中学生のプロジェクトを事例として紹介していただきました。
JAMSTEC、国際海洋環境情報センター(GODAC)を講師に、海辺の漂着物を考えようというプログラムです。県内の中学生を対象に募集し、フィールド調査、分類・分析を行ったあと、まとめて発表する構成になっています。参加する学校も地域も特に定めていないことから、離島も含め、南部・中部・北部からの参加があるそうです。
東海岸側と西海岸側の2カ所を行い、落ちているものにどんな差があるのかという視点でフィールドを調査。大きなものから小さなプラスチックまでいろいろなものを採取します。
実際に調査したものは、生徒同士でディスカッションをしながら考察し、GODACの講師の方にアドバイスをもらいながら、生徒たちが独自に、実際に自分たちで拾ってきたものは何なのかというのをまとめます。
自分の地域の海はどのような状況かを確認する課題も出され、沖縄県の各地域の海の状況のまとめが作られたそうです。
20名がセッション形式で発表し、中学生プロジェクトと高校生プロジェクト、稜堡の参加者を会場に集め、各生徒がどのようなプロジェクト進めたのかを発表。子どもたちが主体となって進行し、質疑応答まで全てを進めたとのことです。
実際に海辺の漂着物はどのようなものかをまとめ、プレゼンテーションする中では、大人はサポートに留め、生徒自身でディスカッションを重ねました。
人工物と自然物の境界線を考えたチーム、漂着物の違いが東海岸・西海岸、実際に住んでいる地域の海岸の様子を比較したチーム、なぜ漂着物がエリアによって違うのかを考えたチームなど、多様なまとめが行われました。
各地域から参加があることから、地元の課題と県全体の課題の状況を把握することができる講座になっています。そして、課題の共通点は何かというところを考えることができます。さらに、原因を自ら考えることで、対応策、原因の究明を自分たちの手で行うことができます。
また、大人たちの関与がなく主体的に行っていく事で、自分事として捉えることができるということが、大きな利点だと岸信さんは話します。
講師の方々には、教えるのではなくてサポート側に回っていただくという組み立てを常にしているそうです。
伴走者として生徒たちがわからないというところはサポートしますが、基本的には子どもたちの意見を基にまとめています。
学校単位では全ての地域で取り組むことは難しいが、学校とは違った場で行うことで、学校ではできないことを実践できるのはないか。学校ではなかなか自分の意見を言えないような生徒たちが、こういう場では積極的に取組むという結果も出ていることから、学校以外の場での自己実現は大きな効果につながっているのではないか」と岸信さんは話されました。

 

 

~登壇者によるトークセッション~

講評から参加

福岡教育大学 ESD受講学生:武田 朱未 氏・山本 望 氏

https://www.fukuoka-edu.ac.jp/

認定NPO法人 地球市民の会:岩永 清邦 氏

http://www.terrapeople.or.jp/main/

 

九州・沖縄各県の地域ESD拠点から、多くのみなさまにこのフォーラムにご参加いただきました。

登壇いただいた3つの団体のお話を伺って、それぞれに対話、人づくり、地域の課題の目線に立ったプログラムを実施いただいていると実感した。

 

岩永

今回SDGsとESDの観点ということで、当団体ではうまく周知ができていないところがあるが、例えばSDGsとかESDを採り入れたことによって、モチベーションの変化や活動の拡大にどのように繋がったかをお聞きしたい。

 

 

岸信

ESDとSDGsという分かりやすい指標によって、元々取り組みが行われていたものに幅が出て、「やっていることはこういうことだったんだ」という整理が付き、一人一人職員の取組の目印、指標になったのかなと思っている。

 

 

清田

ESDを意識して活動をやったというのが実際あまりない。

今回のフォーラムを通して、各拠点のESDの取り組み、それからいろんな考え方を拝見して、私たちのやっていることがESD活動として整理することができるかなという気持ちでいる。

 

 

力丸

国立の施設では登録が国立大雪青少年交流の家に続き、2例目になっている。

最初に登録した大雪青少年交流の家がESDの活動を推進する拠点になったことを受け、諫早でもできないかと提案を受けた。

実際のところESD、SDGsについて職員の意識がそこまで追いついていない部分もある。

しかし、今回のフォーラムをきっかけに、当施設で今まで取り組んできたことをESD活動に当てはめ、価値づけをして、自信を持って活動していきたい。

 

 

ESD、SDGsはハードルが高い印象あり躊躇してしまうところがあるが、むしろ登録をきっかけに動きがあったり、組織の中で意思決定が進んでいったりするというように考えてもらえば。

明確なESD活動ができていなければ登録できないということではなく、社会の担い手育成の実体があれば登録を活動拡大の一つの契機にしていただいたい。

 

 

福岡教育大学 ESD受講生

どの施設も自然がたくさんある中で活動されていて、自分もこういうところで活動してみたいなと思っている。

子どもたちを将来引率できる立場になれたら利用してみたいと感じた。

「伴走者」という言葉があったのが、こういった活動のなかで、学校や地域の子どもたちに、あまりESDやSDGsに詳しくない大人や周りの人がどのようにサポートできるのか、その点を教えていただきたい。

 

 

力丸

現在の施設に異動した時に、「自然体験活動ができるということがたくましく生きるために大事なこと」と考えていた。

しかし次第に、体験させるだけでは不十分で、体験させる前の仲間づくりが前提になっていると考えるようになった。

これから自然体験活動をする場合、様々な危険があったり、助け合いが必要だったりするときに、人間関係ができていることが重要。そこができたときに、助けられた側も助けた側も自信になり、次こんな場面があったら人を助けてあげたいという感情が芽生える。

自然体験活動が単なる体験に終わってないというところに、非常に意義のある学びがある。

これからいろんなことを学ぶにあたり、この部分がベースになっていくという点が、職員含め、利用者の方々にも伝わればいいなと思って活動している。

 

 

清田

私たちの活動で大事にしているのは、子どもたちからの気づき。

こちらから先にこうだよ、ああだよという前に、子どもたちが気づきを促す。こちらが予期もしない答えを出す子もいる。

自然観察活動をしていくなかで自然とともに生きている生きものを見ていると、生きもの同士のつながりが見えてくる。

食物連鎖でいう、食べることであったり、食べられることであったり、ともに生きるということに気づいてもらうことを活動に盛り込んでいる。

保護者の方からは、帰ってから子どもたちが色んな話をしてくれるというお話を伺っている。私たちの観察会を通して、親子の会話が生まれている。

私たちもその点を調査分析はできていないが、観察会を通して、家族へのコミュニケーション、それから学校での仲間たちとのコミュニケーション、そういったものにつながると考えている。

 

 

岸信

ESDやSDGsは最近になって出てきた言葉なので、やりましょうと言っても、大人たちは横文字に拒否反応が出る方もいる。自分はわからないからとおっしゃる方もいる。

そういう方々には、まず思いを聞いてから、その思いがESDです、SDGsですというように伝えている。

コーディネーター側に力量が必要であるかもしれないが、伴走者として一方的に教えるのではなく、一緒に学びましょう、先輩たちのことを子どもたちも知りたいと思いますよというようにアナウンスし、関わっていただけるような伴走者の方々をどんどん増やそうと取り組んでいる。

 

 

大上段に構えて伝えると引かれてしまう面がある。学びのエッセンスを企画する段階でしっかり意識できれば、現場で伝達するものでもないかと思う。

押し付けがちになってしまえば活動の意味が変わってくる場合があるので、そうではないということも強調したい。

 

福岡教育大学 ESD受講生

それぞれの方々の発表の感想を述べさせていただけたらと思う。

国立諫早青少年自然の家の発表を単純に聞いたとき驚いたが、自分は諫早市の出身で、小中高と自然の家にお世話になっていたので、とても思い出深い施設だった。

昨年度からESDやSDGsなどの活動を新たに位置付けられているということで、自分が学んだ場であるこの施設がESDやSDGsの拠点となっているということが、一市民として素直にうれしい。

再春館の一本の木財団は、1年を通した活動で、学ぶ機会が多く設けられているので、子どもたちの学びも大きなものになったり、深まったりしていくと感じた。また、1年ごとにフィールドを変え、子どもたちの反応や学ぶものに変化があると感じた。そして、ボランティアの中には、学ぶ側から教育の担い手になっていくということを聞いて、このこともESDのかたちになっていると感じた。

沖縄県公衆衛生協会は、漂着物について考えることで、漂着物をただ拾うという活動ではなく、それが一体何なのか、自分たちの海がいったいどうなるのか、各地域の海の違いを調べていた。とても高度な学びの場だなと思った。

すべての施設の活動が目で見て、手で触れるというような自然の中での活動を通した学びになっていて、そういう体験を通した子どもたちは自分事として捉えられるなと思う。

自分事としてとらえるということは、ESDの視点の中で大事だと講義の中でも学んだので、そういう視点から見てこういった学校以外の学びが意義深いものだなと思った。

 

 

岩永

SDGsやESDは押し付けるものではない。

こうした機会で話を聞くと、どうしてもSDGsが先走っているような印象を受ける。

この流れが崩れない状況の中で、自分たちがどのようにSDGs、ESDを活用していくのかがすごく重要になると思う。皆様には、今後どのように位置付け、活用していくのかというところをお聞きしたい。

 

 

岸信

SDGsというものはやはりすごく今テレビでもメディアでも取り上げられており、各企業側でも看板として出されているところである。

広まったことはすごいなと思うが、それが実際に具体化しているのかというところは、まだまだこれからの状況だと思う。これを流行りで終わらせないことが重要である。

職員のなかでもやはりSDGsが世に出る中、SDGsにシフトしていこうという考えもある一方、今までやってきたことをしっかり足をつけてやっていこうというところもある。

流行で終わらせないことと、これ自体が持続可能でなければいけないかなと思っている。これが流行ではなくずっと続いていくということが一番重要であると思っている。

これまでの実績に加えて、今後のビジョンをどうしていくのかというのが、団体としても問われているのかなと思っている。

 

 

清田

これまで特に意識しないで活動してきており、基本的には言葉そのものを今後強く意識してやっていこうとは思ってない。

ただ自分たちが活動を整理してこれからの活動をやっていく中で、SDGs、ESDの考え方で体系的に整理していこうかなと思う。

 

 

力丸

実は長崎県では高等学校でユネスコスクールに登録しているところが3校しかない。

これから当機構も、全国高等学校体験活動顕彰制度「探究アワード」を来年度から始めるということで、高校生の「地域課題解決に向けた取組」に注目している。

高校では「総合的な探究の時間」を使って、地域の課題解決に取り組んでいるところが非常に多く、その中で「ESD活動」として捉えられる場合がたくさんある。

そこで私たちも「ESD活動」を、顕彰制度の案内等を通して、広めていこうと思う。

 

 

 

登録をきっかけにされただけでなく、元々問題意識を持って活動されている分野に、新たな考え方を取り入れながら取組を進めていく。

ご来場の皆様方も含めて、どんどんESD拠点を活用していただき、一緒に学びを深めていただきたい。

 

 

  • 質疑応答

参加者より

大牟田市内の小学校は、20年ほど前から諫早自然の家で、小学5年生の子どもたちによる研修を実施している。

今回は、それぞれ3名の登壇者の中から自然体験活動をご提案していただいた。学校で例えば子どもたちに自然体験をさせる仕組みというのは年に数回あり、子ども達は非常に貴重な経験をしている。

沖縄県公衆衛生協会の方では、中学生を対象に最後にまとめの活動とかなさっていたが、例えばそのあと、その体験した子どもたちが1年後、2年後に体験を基に生き方が変化したというような、追跡調査をもしされていたら教えていただきたい。

 

 

力丸

私たちの施設の特徴は自然体験活動をはじめ、いろんな体験を通した「仲間づくり」である。

小学生を対象にキャンプをやることが多いが、小学生から中学生になるときの「中1ギャップ解消に向けたキャンプ」を行っている。同じ中学校に入学予定である複数の小学6年生に声をかけて、中学校に行く前にお互いに交流することを目的としている。

追跡調査まではできてないが、仲間の作り方、知らない人への話しかけ方を子どもたちが学んで、次の中学校で活かしてくれていると思う。

併せて、ボランティアとして参加してくれている大学生が、ボランティアを通して子どもの接し方を自分たちの学びにつなげている。

その中には教員を目指している学生たちが多く、教員採用試験を受けるときの2次試験(面接)で、「答え方の中に深まりを出せた」や、「教員採用試験の合格につながった」と言ってくれている。

そういった体験が自分の次の進路、ステップに繋がっているのではないかと感じている。

 

 

清田

私どもの方は当初キッズクラブを立ち上げる一つの目的が人材育成だった。

始まって間もないので追跡調査はできていないが、キッズクラブの場合には1~6年生まで長く活動をしている。

6年生で卒業しなくてはならないが、6年生がそのまま中学生のボランティアとして活動している。

最初、ボランティアとして高校生で入ってきた子が大学生になる。大学生として観察指導員になる場合もある。

人材育成というところを意識しながら見ていこうと思う。

 

 

岸信

中学生の子どもたちであれば高校生のプロジェクトにリンクして、高校生になってから高校生のプロジェクトに参加してくれるというようなところは目に見えてわかる成果なのかなと思う。

単発の集中講座ではあるので、これが大きく人生の転機になるわけではないかもしれないが、終わった直後に本人たちにはアンケートを取ることに加え、数カ月後にお手紙を書いて保護者の方にはアンケートをとっている。

その中でよくあるのが、学んだことがテレビで出てくると、そのことを話してくれるようになっているということがある。

この取り組み自体がディスカッションを行い、大人でも解決できないような内容をやっているところがあるので、この講座自体、結論がでない。

ずっと常にモヤモヤした状態で終わるが、モヤモヤした状態がずっと続くということはずっと考え続けるというところにつながる。

講座終了後もそういったワードが出てきたときに保護者や学校の先生や友達とそういう対話につながっているというところが特徴的かと考えている。

 

 

福岡教育大学

今回のフォーラムに参加でき、とても貴重な機会だった。

実際教員になる前に体験できてよかった。こういうさまざまな活動だったり報告だったりというのは、自分で調べるのは限界があるので、実際活動をされている方から直接話が聞けてとても勉強になった。

 

 

ESDをちょっとずつ意識して活動していく中でこういった若者が一緒に育っていき、拠点同士が連携をしたり、九州の中でネットワークしたりということが重なれば、ESD拠点登録の意義が深まっていくのではないかと思う。

拠点登録はこれからも進めていき、ぜひ皆様の周りで拠点にふさわしい施設があれば、センターへ連絡をしていただきたい。今後もサポートを重ねていきたい。

 

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